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フォトグラファーとして、様々な媒体で活躍し、2014年4月からアートフォト認定講座監修・講師を務める宮木和佳子氏。プロとして、また講師としての経験から、カメラや写真に関する疑問に答えます。今回もプロカメラマンとして仕事をするにあたって必要な知識や心構えについて解説します。
 

 

カメラマンが“現場にいる”のは当たり前

 

こんにちは。アートフォト認定講座 監修の宮木です。
夏も終わり、日照時間も短くなりましたね。冬に近づくにつれ撮影時間も減りますので、この時期に追い込みをかけて、たくさん写真を撮ってください。
 
さて、今回は「カメラマンのお仕事をするには?」の続きを解説していきます。
 
いざ撮影となった時、クライアントさんが一番恐れることは何だと思いますか?
それは「撮影できないこと」です。
 
人物にせよ、ブツ撮影にせよ、一度撮影スケジュールを組んだら、
スタジオの予約や撮影スタッフの手配など次々と決まっていきます。
当然、カメラマンのギャラ以外にもお金がかかっているわけです。
 
予備日を設定する場合もありますが、いろいろなスケジュールが絡んでくると、
「ピンポイントでこの日、この時間しか撮影できません」という状態がほとんどです。
 
その当日に「すみません、風邪をひいて40度熱があるので、誰か他のカメラマンにしてください」なんてできますか?
 
これは撮影以前の話ではありますが、カメラマンはたいてい現場に1人。
撮影を組んでも、予備のカメラマンなんてものは存在しません。
たとえ熱があろうが、ぎっくり腰になろうが、何があっても現場に行き、撮影しなければいけない仕事なのです。
(実際にそう言った場面でも何とか現場に行き、撮影を遂行した、というのはカメラマンであれば一度は経験しているくらい、「現場に行けません」というのはありえないことなのです)
 
大げさに聞こえるかもしれませんが、カメラマンだけでなく、フリーランスという「個人(自分自身)を売る仕事」をする以上は当然の覚悟とも言えます。

 

「機材がありません」で取り返しがつかないことも

 

カメラマンはよくたくさん荷物を持っていると思いますが、そもそも何のために大荷物になっていると思いますか?
「自分で公園にお花を撮影しにいく時、カメラとレンズで事足りるのに……」と思う方も多いと思います。
 
しかし、現場でカメラが壊れないという保証はどこにもありません。もしカメラが壊れてしまったら、一体どうしますか?
 
「壊れちゃったんで撮影できません」なんてことは絶対に言えませんよね。例えば人生に一度しかない結婚式、運動会なのにカメラが壊れたら、取り返しのつかないことになってしまいます。
 
また、急に「こんな風に撮れますか?」というリクエストされることがあります。
そんな時に、できる限り対応するというのも、プロの姿勢として大切です。
 
なるべく満足していただくために、ある程度の機材を持っていこうとするので、必然大荷物になってしまう、というわけです。
 
もちろん大部分は打ち合わせで予想しますが、打ち合わせの時点で、このクライアントさんは、急にアイデアを付け足すタイプだな、というところまで分析したりもします。
 
プロとしてお仕事したい場合は、最低でもボディ2台、レンズ2~3本を準備。他必要かな、と思うものを追加しながら撮影に臨んでください。

 

撮影は本番! 準備は事前に全て済ませておこう

 

お仕事をする上ではこちらも当たり前なのですが、「仕事として受けた撮影現場で練習しない」ということです。
 
自信がないもの、撮ったことないジャンルであれば、私たちでも未だにテストシュートをして、これで本当に撮影できるかということを試しますし、機材に関しても、事前に使いこなせるまで練習します。
 
「あれは前に撮影したから~」と思っていても、撮影というのは同じものがありません。その小さな気の緩みが命取りになる場合もあります。
 
どうしてもカメラマンというと、アーティスティックなイメージがありますが、実はこの様に地味な努力や準備を重ねて、撮影当日に失敗しないようにしているのです。
 
実はまだまだたくさんプロとして仕事をしていくために必要なことはありますが、上に書いたことは最低限分かっていなければいけないことです。
 
“さっと打ち合わせをし、現場ではスムーズに撮影、きっちりと納品”
 
この1行の中にどれくらいの思考を巡らせているか、行動があるのか、これはやってみないとわからないかもしれませんが、「お仕事をしていきたいな」と思う方はぜひ参考にしてください。

 
アートフォト認定講座
 

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(プロフィール)
1980 年1 月10 日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中からカメラマンとして活躍し「金丸茂嶺賞」を受賞。2002 年、「日韓共同開催 若手カメラマン ON & OFF」で若手カメラマン50 人に選ばれる。3 年のアシスタントを経て雑誌、広告、ファッション、アパレルビジュアルイメージ撮影、写真集出版など活躍の場所を広げる。(有)アット・ウィルに在籍しつつ、2008 年11 月に株式会社ミニーナを立ち上げ代表取締役に就任。同年には西麻布にて初の個展を開催。2011 年(株)アットウィル、(株)ミニーナを退社し完全独立。2014年4月より、アートフォト認定講座監修・講師を務める。
 

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