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フォトグラファーとして、様々な媒体で活躍し、2014年4月からアートフォト認定講座監修・講師を務める宮木和佳子氏。フォトグラファーとして、また講師としての経験から、カメラや写真に関する疑問に答えます。今回は6月18日から23日まで行われた「アートフォト展の感想と、写真展の展示方法やメリット・デメリットなど解説します。

 
■展示の経験を宝に、新たな制作へつなげてほしい
 

こんにちは。アートフォト認定講座監修の宮木和佳子です。
先日、一般社団法人日本アート教育振興会が主催する「アートフォト展 2015」にアートフォト認定講座の生徒達が出展いたしました。
ご来場いただいた方もいらっしゃると思いますので、この場を借りて御礼を申します。
ありがとうございました!
 
今回のフォト展は、アートフォト認定講座 準一級を取得した生徒のみが出展できる作品展として開催されました。
 
「展示方法、展示点数、テーマ全て自由」という形式で行ったため、開催直前までみなさん頭をひねって悩んでおられました。
 
初めての額装、初めての釘打ち(額を壁に展示するために釘を打ちます)と、慣れないことばかりだったようですが、一生懸命挑戦されていました。
 
「ここで展示をしたんだ!」という経験を一生の宝にして、新たな制作へ意欲をつなげてほしいものです。
 

 
■なぜ展示がいいの? 展示のメリット・デメリットとは
 

ということで、今回は展示することのメリットについてお話してみたいと思います。
「展示」と一言でいってもいろいろな種類があります。
まず主催が誰かによって分類できます。
 
自分ひとりで全て行うのが「個展」。気があった仲間と何名かで行うのが「グループ展」。
そして今回のようにしっかりと主催する団体がいて、そこに応募しその中のルールでやるのが「公式展、もしくは○○展(その主催者が決めたタイトルが入るもの)」です。

個展はいわずもがな、全てを自分でプロデュースできます。
会場から、展示方法、DMまで好きなようにでき、その会場全体を自分のテイストで埋めることもできます。自分というものをしっかりアピールしたい場合はオススメです。
 
反面、注意したい点が、自分だけでプロデュースしているので、どうしても主観でつくりがちになることです。第三者的な冷静な目線も時には必要です。
 
さらに来客層が友人、知人に絞られてしまうこと。有名な写真家ともなれば、会ったこともないようなファンの方が来場してくれることもありますが、たいていの場合は、知人、友人からスタートです。
 
もちろんその方の応援も大きなものですが、大体辛辣なコメントは言わないので、「本当に面白かったのか、いいと思ってくれているのか」という点においてはすっきりしないかもしれません。
 
グループ展は、逆にそこがメリットですね。複数で出展するので、各々が呼んだお客さんが自分の作品も見てくれます。自分が呼んでいない方が、新たに自分のファンになってくれる可能性があるのです。
 
ただし、グループ展の場合は、展示までの道のりがメンバーによって左右されてしまうというデメリットもあります。
 
タイトルに始まり、テーマ、ギャラリー選び、展示場所、名前の並びなど決めるべきことがたくさんありますが、最初はうまくいっていたものの、段々不満が出てきて、もめてしまうというケースも少なくないです。みんなで話し合っていくうちに「船頭多くして船山に登る」ことも……。
 
また全体的な仕上がりに一貫性がなくなったり、「一人でできないから複数人数でやったんでしょ」という印象を持たれる可能性もあります。ですので、何でも言い合えるような、本当に信頼できる仲間と行うことをおすすめします。
 

 
■展示をするまえに必要な4つのステップ
 

展示をするまでの流れはおおまかに以下の4つ。
① 制作
② 搬入
③ 開催
④ 搬出
 
一番大変なのは、やはり制作から搬入の間だと思います。何をどのように作るのか、そしてどのように展示するのか。もし自分の中にその引き出しがない人は、どんどん写真展を見に行ってください。公式のしっかりした写真展から、個人でやっているこじんまりしたもの、その展示ごとにいろいろなヒントが隠されていると思いますし、刺激を受けると思います。
 
「展示をするまでにどれくらい考えて、準備し、どれくらいそれを形にできたか」
これに尽きると思います。
 
ですから、「これくらいでいいや……」
と少しでも妥協した写真は、どうしても伝わってしまいます。
 
普段、PCモニターや小さいサイズで簡単に見る写真と、
大きく引き伸ばしてじっくりと見てもらう展示用の写真はやはり違います。
 
展示をする時は、その準備がしっかりできているかを常に問いかけてください。
一度展示したものは「自分がこれ以上ない」と認めたものだと、見ている人は判断します。
 
一切の言い訳のない、これが自分です! これがMAXです!
と言える展示にしてほしいものです。

 
アートフォト認定講座
 

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(プロフィール)
1980 年1 月10 日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中からカメラマンとして活躍し「金丸茂嶺賞」を受賞。2002 年、「日韓共同開催 若手カメラマン ON & OFF」で若手カメラマン50 人に選ばれる。3 年のアシスタントを経て雑誌、広告、ファッション、アパレルビジュアルイメージ撮影、写真集出版など活躍の場所を広げる。(有)アット・ウィルに在籍しつつ、2008 年11 月に株式会社ミニーナを立ち上げ代表取締役に就任。同年には西麻布にて初の個展を開催。2011 年(株)アットウィル、(株)ミニーナを退社し完全独立。2014年4月より、アートフォト認定講座監修・講師を務める。
 

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