フォトグラファーとして、様々な媒体で活躍し、2014年4月からアートフォト認定講座（http://artphoto-lesson.com）監修・講師を務める宮木和佳子氏。フォトグラファーとして、また講師としての経験から、カメラや写真に関する疑問に答えます。第２回目はカメラを手に入れたら定期的に行いたい「カメラの手入れ、メンテナンス」について教えてもらいました。

 
——カメラは実は一生モノではない！？
 

前回はミラーレスと一眼レフはどう違うの？　という角度からカメラのお話をしました。「こちらを読んで迷っていたけどいろいろわかりました」と感想などもいただき、少しお役に立てたようでホッとしています。今回は、機材の延長の話で、カメラのメンテナンスについてお話ししていきます。
 
まずみなさん、勘違いしている方もいらっしゃいますが、カメラは一生ものではありません。「え！？　あんなに高いのに一生ものじゃないの？」と思う方もいると思いますが、残念ながらそうなんです。カメラも精密機器の１つ。フィルムカメラに比べてデジタルになってから、長持ちするようになりましたが、やはりカメラもいずれ使えなくなる瞬間が来ます。

 
——カメラを長持ちさせる方法ってあるの？
 

カメラも家や洋服と同じで、ちゃんとマメに掃除をし、メンテナンスをすることで長持ちします。「カメラをメンテナンスするなんて聞いたことなかった」とよく生徒さんに言われますが、大事にメンテナンスしてあげると愛着もわきますし、綺麗に保てるのでいいことづくめなんです。メンテナンスは主に下記の２通りあります。
 
①自分で簡単な清掃をする
 
②メーカーに出して清掃・点検してもらう
 
①は理想を言えば撮影前、撮影後にやって欲しいですね。箇所としてはレンズ周り、ボディ周り。量販店などに清掃グッズがたくさん販売しているので、チェックしてください。
 
②は意外と知られていません。自分で清掃するのも実は限界があって、カメラボディ内部やセンサーなどは基本的に自分で触れない方が良いとされています。ですが、レンズ交換などを外で行った場合は、多少なりともチリやホコリなどがカメラボディ内部に入り込んでいる可能性があります。これが積み重なってくると、ファインダーを覗いた時に大きなゴミが付くようになったり、同じ場所に何かが写りこんでしまうようになってしまいます。
 
私が知っている中で最もひどい例は、外で交換した時に小さな虫が入ったらしく、ファインダーを覗くとちょこちょこと虫が動いているのです（苦手な方ごめんなさい）。レンズやファインダーを掃除しても消えなかったので、内部にいるということだけわかりました。後日メーカーに持っていき、清掃をお願いしました。こんな風に予想だにしない汚れ方をするのも撮影ならでは。理想としては、よく撮影をした時は、1月に一回はメンテナンスに出すことをオススメしています。

 
——カメラは第二の目！　いつも綺麗してあげよう
 

他にも、一眼レフのレンズで「最近ピントが合いづらくなったな」と思ったら、「ピント調整」に出してみてください。これは使用機種に合わせてメーカー側でピントがちゃんと来るようになっているか調整してくれるものです。レンズも使用しているとピントがズレてくることも多々あります。このように、使えば使うほどメンテナンスは必要なんですね。また使用していないカメラも、ずっと戸棚の中にしまっておくよりも、定期的に出して外気に触れさせるとカビ発生をおさえることができます。
 
撮影テクニックや新しい機材に貪欲なのはとてもいいことなのですが、「持っているカメラをしっかり愛してメンテナンスしてあげること」も同じくらい大切です。なぜならカメラはあなたの第二の目ですから、汚れていては描写も変わります。いずれ寿命を全うするまでの時間、いつも綺麗にしてあげてくださいね。
 

（プロフィール）
1980 年1 月10 日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中からカメラマンとして活躍し「金丸茂嶺賞」を受賞。2002 年、「日韓共同開催 若手カメラマン ON ＆ OFF」で若手カメラマン50 人に選ばれる。3 年のアシスタントを経て雑誌、広告、ファッション、アパレルビジュアルイメージ撮影、写真集出版など活躍の場所を広げる。（有）アット・ウィルに在籍しつつ、2008 年11 月に株式会社ミニーナを立ち上げ代表取締役に就任。同年には西麻布にて初の個展を開催。2011 年（株）アットウィル、（株）ミニーナを退社し完全独立。2014年4月より、アートフォト認定講座監修・講師を務める。