Special Column 「アート ✕ 写真」
フォトグラファー宮木和佳子の写真お悩み相談室 Vol.15
「寒くて忙しい冬にしておきたい撮影は?」
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冬にオススメの「スナップ」にチャレンジ!
こんにちは。プラクティカルフォト認定講座、監修・講師の宮木和佳子です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
冬は撮影するには厳しい季節です。
春や夏のように樹木が生い茂っているわけでもなく、
雪景色のような冬らしい景色が都合よくあるわけでもない。
どう撮ってもあんまり絵にならないし、撮影を粘るにも体力がいる……。
そんな季節にオススメなのが「スナップ」です。
スナップとは、撮影するにあたって入念な準備を用いず、「あ!これ!」という被写体に出会ったら、
気持ちのままシャッターを押すような撮影方法のことをいいます。
ではスナップが冬場の撮影に向いている理由をお教えしたいと思います。
①入念な準備を用いないので体力的な消耗が少ない
②普段とは違う装飾や会う人などがいる
③忙しい中でも手軽に撮影できる
スナップの最大の醍醐味とは?
まず①の「体力的な消耗が少ない」ですが、じっくり撮影すると構図の整理や
画角の決定にどうしても時間がかかってしまいます。
屋外の撮影であれば細かく決めている間にもどんどん体力が消耗されていきます。
そんな時、「構図や精度は気にしないで、インパクト狙いで撮影してみよう!」
と割り切れると、撮影時間も短縮できますし、
今までじっくり撮影していたものとは別の視点が現れるかもしれません。
もちろん、ただ雑に撮影するのがスナップではありません。
準備を用いない代わりに、その場にしかないインパクトや驚きを写しこんでくださいね。
撮影は丁寧にやるべきではありますが、ただ時間をかければいいというものではありません。
体力が消耗してくると当然、絵作りする余裕もなくなってきますから、「よし悪し」なんですね。
「もう短時間で決めちゃおう!」と最初から考えて被写体を探すのも良いと思います。
次に②の「普段とは違う装飾や会う人がいる」というのは、年末年始を挟む冬ならでは。
門松やしめ飾り、街をあるく着物姿の女性、初詣の神社の様子やおみくじなど……。
どれもポイントとして用いて、さっと撮影するにはとてもキュートで良い題材だと思います。
ただし、混んでいる時は注意しましょう。神社の手水舎で、カメラを構えて
シャッターチャンスを延々と粘っていたら、ほかの参拝客に邪魔ですよね。
最後に③の「忙しい中でも撮影できる」という点です。
写真をやっている方は、いつもと違う冬の景色に「何か撮りたいな」
と思っているもの。その気持ちはすごくわかります。
ただ、冬というのはなぜだかとても忙しい季節でもあります。
「余裕を持ってしっかり撮影しよう」とまで行かないことが多くありませんか?
その際は、準備や記録と割りきって、サクサクと撮影するのもいいと思います。
スキルアップのために!
きっちり綺麗な写真を追求することは、スキルアップには必要なことです。
撮影環境が整わない限りは逆にストレスになってしまったり、
中途半端な写真で終わってしまうこともあるかと思います。
スナップは誰でも出来そうだと思われがちですが、実は奥深いのです。
一瞬をキャッチする力、そしてその一瞬で構図や明るさなどを決めていく判断力、
いつも挑戦してないのであればなおさら、
こんな忙しい時期だからこそ合間合間でやってみると思わぬものが撮れるかもしれません。
(プロフィール)
1980 年1 月10 日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中からカメラマンとして活躍し「金丸茂嶺賞」を受賞。2002 年、「日韓共同開催 若手カメラマン ON & OFF」で若手カメラマン50 人に選ばれる。3 年のアシスタントを経て雑誌、広告、ファッション、アパレルビジュアルイメージ撮影、写真集出版など活躍の場所を広げる。(有)アット・ウィルに在籍しつつ、2008 年11 月に株式会社ミニーナを立ち上げ代表取締役に就任。同年には西麻布にて初の個展を開催。2011 年(株)アットウィル、(株)ミニーナを退社し完全独立。2014年4月より、プラクティカルフォト認定講座監修・講師を務める。