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フォトグラファーとして、様々な媒体で活躍し、2014年4月からアートフォト認定講座監修・講師を務める宮木和佳子氏。フォトグラファーとして、また講師としての経験から、カメラや写真に関する疑問に答えます。今回と次回の2回にわたって「社交的な性格の方がいいカメラマンになれるの?」という疑問にお答えします。

 
■ プロカメラマンは社交的で営業トークも上手
 

こんにちは。アートフォト認定講座監修の宮木和佳子です。
すっかり春、といった感じですが、みなさん桜を撮影しましたか?
私も講座の合間をぬって撮影しました。SNSなどでも、いろいろな桜の写真がアップされていて、スマホを見ているだけでお花見気分を満喫しました。
 
そのSNSなどで写真をたくさんアップして、多くのお友達に「いいね!」されている人もいれば、「内向的で1人で写真を撮影しています」「みんなとは違う暗いイメージの写真を撮ってしまいます」という相談を受けることもあります。
 
世間一般のイメージでは「写真が好きな人=社交的なカメラマン」のイメージになっている方が多いでしょう。しかし、そんなことはありません。実は写真は内向的な人ほど向いているんです。もちろん、写真活動は誰にでもできますし、社交的でたくさん友達がいる人は向いていないというわけではないですよ。
 
そもそもプロカメラマンは、フリーランスが多いので社交的ですし、自分の作品に当然自信を持って語ります。自分を売り込むので、営業トークも上手です。だからでしょうか、プロではない方でも結構しっかりと自分の写真観を持っています。プロ、アマ問わず、みなさん写真が好きですから当然かもしれません。
 
ただ、これから写真を始める人が、そんな人達と自分を比べて、「私はまだ何も知らないから……」と尻込みしてしまうことが多いのも事実です。クラス内に社交的な人がいるとついつい譲ってしまうという方もいらっしゃいます。ですが、講座の中で私は常に「人と比べる必要はない」と言っています。いずれは自分の写真を愛し、大いに語るようになって欲しいですが、「私、内向的かも……」と思っている人も、実は写真に向いていると断言できます!

 
■ 「なんか人と違う」という感覚の中にこそ個性が眠っている!
 

この話を進めていく前に、少しだけ私のお話をします。
私はフリー女流カメラマンとして15年お仕事をし、新宿に教室を構え、日々いろいろな人に写真を教えています。そんな私なので、客観的に見ると“社交的カメラマン代表”なイメージがあるかもしれませんが、性格の根っこの根っこは、すごく小心者なんです。
 
これを言うと、生徒さんからは必ず「ええー!? 絶対嘘ですよ!」というリアクションが返ってきますが、本当です。子供の頃は友達同士だとそこまで自分の意見を言えませんでした。思春期ともなると常にビクビクしているような子でした。
 
私が変わったのは写真との出会いだったことは間違いありません。その後のアシスタント経験も大きかったです。ただ、私の場合は「カメラマンになる」という目標があったので、どうしても営業トークができなくてはいけないし、モデルとコミュニケーションもとらなければいけないので「訓練」に近い形でプロとして新しい性格を作りました。
 
プライベートはどうかというと、スイッチをオフにしているのでそこまで賑やかではありません。仕事では普段自分が話すことが多いですが、オフの時は案外聞き役だったりします。要は、根っからの明るいムードメーカーではないということです。
 
そんな私が先日、桜を一人で撮影していた時のことなんですが、どうしても「明るい、綺麗な桜」を撮りたくないことに気がつきました。晴れた日の青空に映える桜を見ても撮影意欲がわきません。むしろ花曇りのグレイの空にふるふると震える桜を、なんだかシャッターに収めたくなったのです。
 
写真は、己が出ます。
明るく元気でカラフルな写真をテクニックで撮影することはできるのですが、自分の心に素直になると「どうしても切ない写真が好きなんだなぁ」と気がついたのです。
 

「じゃあ、切なくていいんじゃないかな」
なんだか素直にそう思え、結局私の桜はグレイ一色です。“内向的”“暗い”とはちょっと違うのですが。このように写真を撮っていると、自分そのものと対峙する機会が増えます。内向的、社交的、もしくは明るい写真、暗い写真など様々な写真を撮影していくと、おのずと自分の好みがわかり、自分について考えさせられます。その結果、世間一般的な、明るく活発な人が撮影する、綺麗で誰が見ても文句ない写真と比べて、「なんか私違う・・・」と思う人がいるのも事実なのです。
 
実はこの「私なんか違う」という感覚こそ宝です。そこに個性が眠っています。ですので、今回のテーマは「内向的な人限定」ではなくて、普段生きていて、どうも私って人と違うな、と感じたことがあるのならば、是非聞いて欲しいお話です。次回、後半ではより詳しく掘り下げていきたいと思います。
 
アートフォト認定講座
 

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(プロフィール)
1980 年1 月10 日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中からカメラマンとして活躍し「金丸茂嶺賞」を受賞。2002 年、「日韓共同開催 若手カメラマン ON & OFF」で若手カメラマン50 人に選ばれる。3 年のアシスタントを経て雑誌、広告、ファッション、アパレルビジュアルイメージ撮影、写真集出版など活躍の場所を広げる。(有)アット・ウィルに在籍しつつ、2008 年11 月に株式会社ミニーナを立ち上げ代表取締役に就任。同年には西麻布にて初の個展を開催。2011 年(株)アットウィル、(株)ミニーナを退社し完全独立。2014年4月より、アートフォト認定講座監修・講師を務める。
 

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